面接官が候補者の評価で意見が分かれることは珍しくありません。
これはさまざまな背景、視点、期待値からくるもので、選考プロセスの一部と言えます。
しかしながら、この状況が持続すると、組織の採用プロセスに遅れをもたらす可能性があります。
ここで、数字を用いて一貫した評価基準を設け、面接官間の評価の不一致を解消するアプローチを5つご紹介します。
面接官の間で評価の一致が取れなくなってきた。
以下のことを参考にてみましょう!
1.定量的な評価基準の設定
定量的な評価基準を設定し、それをすべての面接官が使用することで、評価の一貫性を保つことができます。これは、特定のスキルや経験に対する評価基準を1から10までの数値で表す、といった具体的な方法を取り入れることができます。以下に、特定のスキルや経験に対する評価基準の数値化の例を挙げます。
コミュニケーション能力
評価 | 評価基準 |
---|---|
1-3 | 基本的なコミュニケーション能力がありますが、意見の表現や情報の伝達に困難が見られる。 |
4-6 | 適切なコミュニケーション能力を持ち、日常的な業務遂行に支障はない。 ただし、複雑な問題を説明するのは困難かもしれない。 |
7-9 | 高いコミュニケーション能力を持ち、複雑な問題も適切に説明できる。 しかし、時折、誤解を招く表現があるかもしれない。 |
10 | 非常に高いコミュニケーション能力を持ち、複雑な問題を明確に説明し、誤解なく意見を伝えることができる。 |
リーダーシップ
評価 | 評価基準 |
---|---|
1-3 | ほとんどまたは全くリーダーシップの経験がない。 チームでの役割は主に従属的なものである。 |
4-6 | 一部のプロジェクトでリーダーシップを発揮した経験がある。 チームでの意見表明に慣れているが、主導するのはまだ難しい。 |
7-9 | 複数のプロジェクトでリーダーとしての経験があり、チームを成功に導いた事例がある。 しかし、大規模なプロジェクトではまだ経験が浅いかもしれない。 |
10 | 大規模なプロジェクトでリーダーとして活動し、チームを成功に導いた経験が豊富。 各種の困難な状況でもリーダーシップを発揮することができる。 |
このように、数値化された評価基準は具体的な行動や結果に基づいています。
2.評価基準の共有と訓練
すべての面接官が評価基準を理解し、それに基づいて評価を行えるようにするためには、適切な訓練が必要です。これは定期的なワークショップや研修で行うことができます。ワークショップや、研修では以下のことを含めると良いでしょう。
- 評価基準の説明と理解
各評価基準の意味と適用方法を詳しく説明し、面接官全員が理解できるようにします。
これには、具体的な行動例やスキルレベルを示すことも含まれます。 - ロールプレイ
面接のシミュレーションを行い、面接官が評価基準を実際に適用してみる機会を提供します。
これは、理論を実際の状況にどのように適用するかを学ぶのに非常に有効です。 - ケーススタディ
過去の面接状況や仮想的なケースを用いて、評価基準をどのように適用するかを練習します。
各ケースに対する面接官の評価を比較し、評価の一貫性を確認します。 - フィードバックとディスカッション
各面接官の評価や面接スタイルについてフィードバックを交換し、ディスカッションを行います。
これにより、評価の偏りや誤解を解消し、評価の一貫性を向上させます。
以上の訓練を定期的に行うことで、全ての面接官が評価基準を理解し、それに基づいて一貫した評価を行えるようになります。これにより、面接官間の評価の一貫性を保ち、採用の公平性と効率性を向上させることができます。
3.データドリブンな採用プロセスの導入
面接の評価を客観的なデータに基づいて行うようにすることで、主観的なバイアスを減らすことができます。これには、面接中の候補者の反応やスキルを評価するAIツールを使用することも含まれます。下記では、AIツールをいくつかご紹介します。
- ビデオインタビューツール
HireVueやSparkHireのようなツールは、候補者のビデオインタビューを分析し、非言語的なシグナル(顔の表情、ジェスチャー、声のトーンなど)を評価します。しかし、これらのツールの使用には注意が必要で、特定の表情や動作が業績に直結するとは限らず、バイアスを持つ可能性もあります。 - 自然言語処理(NLP)ツール
これらのツールは候補者の発話をテキストに変換し、その言葉遣い、トーン、感情などを分析します。
例えば、IBM Watsonなどが該当します。 - スキルテストツール
これらは特定のスキルや能力を評価するためのオンラインテストを提供します。
これには、HackerRank(プログラミングスキル)、Pymetrics(ゲームに基づいた能力テスト)などがあります。
4.フィードバックの共有
各面接官が他の面接官の評価を確認し、理解するためには、評価結果とその理由を共有することが重要です。
これにより、以下のようなメリットがあります。
- 一貫性
同じ基準や観点で候補者を評価することで、面接全体の一貫性を確保します。 - フィードバックの質向上
面接官間で評価結果を共有することで、各自の評価が他の面接官と一致するかどうかを確認することができます。それにより、必要な場合にはフィードバックの方法や評価基準を見直すことができ、結果的にフィードバックの質を向上させます。 - チームワーク
面接官同士で情報を共有することで、チームとしての協調性や一体感が高まります。
また、それぞれの面接官の意見や視点を尊重することで、互いの専門知識や経験を活用することができます。 - 公平性
同じ情報を共有することで、面接官全員が同等の情報を持ち、それぞれが公平に評価することが可能となります。
5.定期的な評価の見直し
面接官の評価が一致しないという問題が継続する場合、評価基準自体の見直しが必要かもしれません。定期的なレビューを行うことで、評価基準が適切であることを確認し、必要に応じてそれを調整します。
以下のようなアプローチが有効です。
- 評価基準の見直し
評価基準が明確でない、または曖昧な場合、面接官間での評価が一致しない可能性があります。この問題を解決するためには、評価基準を見直し、必要に応じて改訂することが重要です。また、評価基準の解釈に違いがある場合も、それぞれの項目に対して具体的な例を示すなどして、評価の一致を促すことが効果的です。 - 定期的なレビュー
定期的に評価基準をレビューし、その適切性を確認することも重要です。面接官間で評価の違いが出る場合、それは評価基準が時代や候補者の能力、求められるスキルに合わせて適切に更新されていない可能性があります。 - 面接官のトレーニング
評価基準の理解を深め、公平で一貫した評価を行うためには、面接官への継続的なトレーニングや教育も重要です。
面接官同士での情報共有の場を設けるだけでなく、評価基準や面接の技法についてのワークショップを定期的に実施すると良いでしょう。
これらのアプローチにより、評価基準が適切に設定され、それに基づく公平で一貫した評価が行われることが確保されます。これは、候補者が公平に評価されることを保証するとともに、組織が最適な人材を採用するための重要なステップです。
まとめ
面接官間での評価の不一致は、しばしば採用プロセスに影響を及ぼす懸念事項です。
しかし、上述した5つの数字を用いたアプローチにより、明確な評価基準を設けて一貫性を保つことが可能になります。
これらのアプローチを採用することで、選考の透明性と公正性が向上し、適切な候補者の採用を助けることでしょう。
このようにして、あなたの組織はより健全で効果的な採用プロセスを実現し、その結果としてより質の高い人材を引き寄せることが可能となります。
参照元:厚生労働省
- 面接の評価基準が不明確であるため、面接官が複数いると、個々人が異なる基準で評価を行ってしまう
-
まず、評価基準を明確化し、全面接官が同じ基準で評価を行えるようにします。
評価基準の明確化は、定性的な基準だけでなく、具体的な行動例や結果を元にした定量的な基準も含めることが有効です。 - 面接官間でのコミュニケーションが不十分で、評価が一致しない
-
面接後に面接官間での評価を共有する会議を設け、各個人の評価とその理由を共有します。
これにより、他の面接官の視点を理解し、全員が同じ情報に基づいて評価を行うことが可能となります。