採用面接において、面接官が適切な傾向分析を行わないと、採用ミスの原因になることがあります。
しかし、傾向分析の方法は多岐に渡り、初めての方には難解に感じることがあるかもしれません。
今回は、面接の傾向分析が苦手な方向けに、10の手法をご紹介します。
これらの手法を使いこなすことで、より正確かつ客観的な面接評価を行うことができるようになります。最新の2023年版ですので、是非参考にしてください。
面接での傾向分析に慣れていない。
以下のことを試してみましょう!
1.質問分析
採用担当者が行った質問の内容や順番を分析し、求職者の能力や経験、性格などを評価します。質問分析とは、面接などで行われる質問に対して、求職者がどのように答える傾向があるかを分析することです。この分析により、応募者の能力や性格をより正確に評価することができます。具体的には、以下の手順に従って分析を行います。
- 質問の種類を洗い出す
まずは、面接で使用する質問の種類を洗い出します。例えば、過去の経験やスキル、人物像など、さまざまな質問があります。 - 質問に対する理想的な回答を設定する
次に、各質問に対して、企業が理想的な回答とする内容を設定します。例えば、経験に関する質問であれば、そのポジションに必要なスキルや経験を持っていることが理想的な回答となるでしょう。 - 求職者の回答を記録する
面接時に、求職者の回答を記録します。できるだけ正確に、求職者がどのように回答したかを記録することが重要です。また、回答の細かいニュアンスや表情なども記録しておくと、より正確な分析が可能になります。 - 回答内容を分析する
記録した回答内容を分析し、理想的な回答との差異を把握します。例えば、必要なスキルを持っていない場合や、回答が曖昧だった場合は、その求職者の評価が下がるでしょう。 - 総合的な評価を行う
最後に、求職者の回答内容を総合的に評価します。質問分析を行うことにより、より正確な評価が可能になります。ただし、質問分析による評価だけでなく、面接全体の印象や雰囲気なども総合的に評価することが重要です。
質問分析は、応募者の能力や性格を正確に評価するために非常に重要な手段の1つです。
正確な分析を行うためには、面接前に質問の設定や理想的な回答の設定を十分に行い、面接時には応募者の回答を正確に記録することが重要です。
2.経歴分析
応募者の過去の職歴や学歴を分析し、求人に必要なスキルや知識を持っているかどうかを判断します。以下では、求職者の経歴分析の重要性と、その方法について記載します。ぜひ参考にしてみてください。
【採用担当者にとっての経歴分析の重要性】
- 面接評価の裏付け材料になる
経歴分析を行うことで、求職者が自己申告する経歴やスキルの正確性を確認することができます。面接での印象やスキルアセスメントの評価を裏付ける材料として役立ちます。
- 求職者のポテンシャルを把握することができる
経歴分析で過去の成果や経験を詳しく聞くことで、求職者のポテンシャルを把握することができます。また、過去の成果や経験をもとに、将来の業務における成果や貢献度を予測することもできます。
- キャリアアドバイザーとしての役割を果たすことができる
経歴分析を通じて、求職者のキャリアに対する希望や目標、過去の転職理由などを聞くことができます。その情報をもとに、求職者が求めるキャリアパスや職務内容が当社に合致しているかどうかを判断することができるため、ぜひ取り入れてみましょう。また、経歴分析を行うことにより求職者のキャリアに関するアドバイスをすることもできます。
【経歴分析の方法】
- 面接前に履歴書を確認する:求職者から提出された履歴書を事前に確認し、面接時に詳しく聞きたいポイントを整理します。
- 具体的な質問を用意する:職務経験やスキルに関する具体的な質問を用意します。過去の成果や経験、業務上の課題や困難、それをどのように解決したかなどを聞きます。
- フォローアップ質問をする:求職者が話した内容について、詳しく聞き返したり、補足を求めることで、より詳細な情報を得ることができます。
3.スキル分析
応募者のスキル判断をすることは、採用したいポジションに必要なスキルセットがそろっているかどうかを確認するために重要です。採用ミスを防ぎ、採用した人材が業務に適しているかどうかを見極めるために、スキル判断は欠かせません。以下に、分析方法を記載しますので、参考にしてみてください。
求職者のスキル分析方法
- 履歴書・職務経歴書の確認
求職者が提出した履歴書や職務経歴書を確認し、その中で自己アピールしているスキルや経験をリストアップします。 - 面接中の聞き取り
面接中に、求職者のスキルや経験に関する質問を行います。その際、具体的な事例を挙げて説明してもらうように促し、詳細な情報を引き出します。 - 実務経験の確認
求職者の実務経験を確認し、その中でどのようなスキルを身に付けたのか、どの程度の経験を積んでいるのかを詳しく聞き取ります。 - 能力検査や実技試験の実施
求職者のスキルや能力を客観的に測定するために、能力検査や実技試験を行います。例えば、コンピュータのスキルを評価するために実際に操作してもらったり、外国語力を評価するために面接とは別に筆記試験を行ったりすることがあります。 - 参考人の確認
求職者のスキルや経験について、参考人からの情報を収集します。例えば、前職の上司や同僚、教育機関からの参考人などです。
以上のような手順によって、求職者のスキルを客観的かつ総合的に評価することができます。
4.パーソナリティ分析
パーソナリティ分析とは、応募者の性格や行動特性を分析することで、採用時に適切な判断をするための手法です。面接やアセスメントセンターでは、応募者がどのような言動をするかを観察し、性格や行動特性を明らかにします。ただし、パーソナリティ分析は人間の主観的な判断に大きく左右されることがあるため、他の採用手法と併用することが重要です。
5.行動面接
応募者の行動分析とは、面接やアセスメントセンターなどで応募者の行動を観察し、その行動から応募者の性格や能力、行動特性を分析する手法です。以下に具体的な手法をいくつか紹介します。
- STAR法:応募者が過去に行った具体的な業務やプロジェクトの経験を、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の4つの要素に分けて分析する方法です。
- 行動面接法:応募者が過去に行った具体的な業務やプロジェクトの経験を聞き出し、その時の行動や思考過程を詳しく聞き取り、分析する方法です。
- アセスメントセンター:業務に必要なスキルや性格特性などを想定した演習や課題を用意し、応募者の行動を評価する方法です。
これらの手法を用いて、応募者がどのような行動をするかを観察し、その行動から応募者の性格や能力、行動特性を分析することができます。また、他の採用手法との併用や、複数の面接官で観察することで、より正確な分析が可能となります。
6.模擬業務
実際の業務に近いタスクを与え、応募者の業務遂行能力や問題解決能力を分析します。模擬業務を行うことによる利点をいくつか記載しますので、面接で取り入れるか判断する材料にしてください。
- 実践的なスキルの評価:模擬業務は、候補者の実践的なスキルや能力を評価するのに役立ちます。面接官は、実際に仕事をする際に必要なスキルや知識を持っているかどうかを見ることができます。
- エンゲージメントの向上:模擬業務は、面接プロセス全体をよりエンゲージングにすることができます。候補者が実際に仕事をするかのように行動することで、面接の興味深さが増し、候補者がより情熱的に参加することができます。
- 実際の業務におけるパフォーマンスの予測:模擬業務は、候補者が実際に仕事をした場合のパフォーマンスを予測するために使用することができます。面接官は、候補者が実際の業務でどのように機能するかをシミュレートすることができます。
- 信頼性の向上:模擬業務は、面接プロセスの信頼性を向上させることができます。面接官は、単に候補者の答えを聞くだけではなく、候補者が実際に問題を解決する方法を見ることができます。
以上のように、模擬業務は面接プロセスにおいて非常に重要な役割を果たすことができます。候補者の実際のスキルや能力を評価するために使用され、エンゲージメントを向上させ、実際の業務におけるパフォーマンスを予測するために役立ちます。
7.二次面接
二次面接は、候補者をより詳しく知るため、適性を確認するため、選考プロセスの精度を高めるために行います。応募者を複数回面接することで、一回目の面接では見えてこなかった情報や評価を得ることができます。また、複数の面接官が行うことで異なる視点から評価し、より正確な判断を下すことができます。
8.面接評価シート
面接評価シートは、面接官が面接で評価するために使用するドキュメントです。一般的には、候補者の経験、能力、パーソナリティなどを記録します。以下に、一般的な面接評価シートの例を示します。
項目 | 評価基準 | 評価値 |
---|---|---|
経験 | 関連する経験の年数 | 1-5 |
能力 | 技術スキル、コミュニケーション能力、問題解決力 | 1-5 |
パーソナリティ | チームワーク、自己管理能力、ストレス耐性 | 1-5 |
総合評価 | 総合的な評価 | 1-5 |
コメント | 追加のコメントやフィードバック |
上記の表は、面接官が候補者を評価するために使用する一般的な面接評価シートの例です。
各項目には、評価基準が示され、評価値が1から5までの範囲で与えられます。総合評価は、候補者の全体的な評価を示します。コメント欄には、追加のコメントやフィードバックを記録することができます。
なお、一部の面接評価シートでは、さらに細かい評価項目が設定されている場合があります。以下は、より詳細な面接評価シートの例です。
項目 | 評価基準 | 評価値 |
---|---|---|
経験 | 関連する経験の年数 | 1-5 |
技術スキル | 必要な技術スキルのレベル | 1-5 |
コミュニケーション能力 | 聴取能力、表現力、論理的思考力 | 1-5 |
問題解決力 | 問題の把握、分析、解決策の提供 | 1-5 |
チームワーク | チームでの役割、貢献度 | 1-5 |
自己管理能力 | タイムマネジメント、目標設定、優先順位 | 1-5 |
ストレス耐性 | プレッシャーへの対応、ストレスの解消 | 1-5 |
総合評価 | 総合的な評価 | 1-5 |
コメント |
9.評価者間の共通認識形成
評価者間の共通認識形成とは、複数の評価者が同じ評価基準や評価方法を共有し、個人的な意見やバイアスを排除して客観的かつ一貫性のある評価を行うプロセスです。
評価者間の共通認識形成が行われることで、候補者に対する評価が一定の基準に沿って行われ、公平かつ正確な評価が可能となります。このプロセスは、評価者間のコミュニケーションや研修、評価基準の明確化などによって促進されます。
10.フィードバックの取り入れ
過去の面接での評価や選考プロセスで得られた情報を反省し、今後の選考にフィードバックを取り入れます。これによって、より適切な選考ができるようになります。もし行う場合は、以下のような具体的な点を振り返ることが重要です。
- 評価基準の明確化:選考にあたって重視するポイントや基準を明確にしておくことで、公正な評価が可能となります。
- 面接の質問の再検討:過去の面接で使用した質問について、候補者の適性を正確に評価できたかどうかを検討し、必要に応じて質問の改善を行います。
- 評価者間の意見の共有:評価者間での意見の共有や調整を行うことで、評価基準に沿った公正な評価が行えるようになります。
- 候補者へのフィードバック:候補者に対して、選考プロセスや面接での評価について適切にフィードバックすることで、候補者との信頼関係を構築し、採用率の向上につなげることができます。
以上のような点を反省し、改善点を洗い出すことで、より公正かつ正確な選考プロセスを構築することができます。
まとめ
以上、面接傾向分析の方法について10の手法をご紹介しました。採用担当者は、これらの手法を駆使して、適切な人材選考を行い、企業の成長に貢献していくことが求められます。
参照元:厚生労働省
- バイアスや人格的な好みによる評価の偏りがでてしまう。
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採用担当者が自身の好みや過去の経験に基づいた評価をしてしまうことがあります。この場合は、評価基準を明確にしておき、面接官の意見を複数人で共有・調整することで偏りを抑えることができます。
- 複数名で面接を行った結果、面接評価の一貫性がなく、評価がしづらくなってしまった。
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複数の面接官が評価を行う場合、面接評価の一貫性が欠けることがあります。この場合は、面接前に評価基準を共有し、評価者間の意見の共有や調整を行うことで、一貫性のある評価を実現することができます。