【評価表の例もあり】面接官間の評価の一致度を向上させる7つの方法

採用の成功は、一貫性のある評価プロセスに大いに依存しています。しかし、複数の面接官が関与する場合、彼らの間で評価の一致性を保つことが課題となることがあります。評価のバラつきは、候補者への不公平な判断を生み出し、最終的には組織の採用結果に影響を及ぼす可能性があります。
本記事では、面接官間の評価の一致度を向上させるための7つの方法を詳しく探ります。

面接官間の評価の一致が取れなくなってきた。

以下の対策をとってみましょう。

目次

1.共通の評価基準を設定する

すべての面接官が同じ評価基準を使用し、何を評価すべきかを理解していることを確認します。面接官全員が同じ評価基準を使用するためには、以下の手順を踏むことが有効です。

  • 評価基準の明確化
    採用される候補者に求められるスキル、経験、知識、態度などを具体的にリストアップします。
    これらが面接で評価すべき項目となります。
  • 評価スケールの設定
    評価基準をどのようにスケール化するかを決めます。
    一般的には5点スケール(1=非常に不十分、5=優れている)がよく使われますが、組織やポジションに合わせてカスタマイズすることも可能です。
  • 評価基準の共有
    上記で設定した評価基準と評価スケールをすべての面接官と共有します。
    具体的な行動例や質問例も併せて共有すると、理解が深まります。
  • トレーニングの実施
    評価基準に基づいた評価方法を理解するために、面接官向けのトレーニングを実施します。
    具体的なシナリオを用いてロールプレイを行うなどが有効です。
  • 評価のレビュー
    面接が終わった後に面接官間で評価を共有し、一致度を確認します。
    一致していない場合は、評価基準の理解度を再確認し、必要であればトレーニングを再実施します。

以上のステップを踏むことで、すべての面接官が同じ評価基準を理解し、適用できるようになります。
これにより面接官間の評価の一致度が向上し、公正で一貫性のある評価が可能になります。

2.トレーニングを提供する

面接官には、共通の評価基準を用いた評価方法やバイアスの認識と制御についてのトレーニングを提供します。主なトレーニング方法を記載しますので、貴社にあった方法を試してみてください!

  1. 評価基準の明示
    まず、評価するべきスキルや能力、知識、態度などを明確にします。
    これらが評価基準となり、面接官はこれらの基準をもとに候補者を評価します。
  2. 評価方法の説明
    評価基準に基づいて、どのように候補者を評価すべきかを具体的に説明します。
    例えば、「リーダーシップ」を評価する場合、具体的な行動例や事例を使って説明すると理解しやすいでしょう。
  3. バイアスの認識
    バイアスは意識的、無意識的に人々の判断を歪めます。面接官が自身のバイアスを認識するために、具体的なバイアスの例(例えば、ハロー効果、ステレオタイプ、最初の印象への過度の依存など)を提供し、それらが評価にどのように影響を及ぼすかを説明します。
  4. バイアスの制御方法
    面接官がバイアスを克服するためのストラテジーを教えます。例えば、情報を一貫した方法で収集するための構造化面接の使用、全ての候補者に対して同じ質問を行うこと、情報を個別に評価するための評価スケールの使用などです。
  5. ロールプレイやシミュレーション
    理論だけでなく、実際に面接官がロールプレイやシミュレーションを通じて評価基準の適用とバイアスの制御を体験することが有効です。
  6. 定期的なフィードバックと研修
    面接官が評価基準を適切に適用し、バイアスを制御できているかを確認するために、定期的なフィードバックと研修を提供します。

3.面接の構造化を進める

すべての候補者に対して同じ質問を行い、同じシチュエーションを提供することで評価の一致度を向上させるためには、構造化面接と行動面接が非常に有効です。

構造化面接

あらかじめ設定した一連の質問をすべての候補者に対して行います。これにより、比較と評価が公平に行えます。評価したい特定のスキルや能力に関連する質問を作成します。たとえば、候補者の問題解決能力を評価したい場合、「過去に遭遇した複雑な問題をどのように解決したか」について尋ねるといった具体的な質問を考えます。

行動面接

過去の経験をもとに候補者の行動を評価します。これは「過去の行動は未来の行動を予測する最良の指標」という原則に基づいています。行動面接の質問は一般的に、「〜した時にどのように行動したか」を尋ねる形式をとります。たとえば、リーダーシップに焦点を当てた質問なら、「過去にチームでリーダーシップを取った経験がある場合、その結果と学んだことについて語ってください」といった質問をすることができます。

また、以下にいくつかの質問例を挙げておきます。

  • あなたが過去に達成感を感じたプロジェクトについて教えてください。
    そのプロジェクトで最も困難だった部分は何でしたか?どのようにそれを乗り越えましたか?
  • 過去の仕事で複雑な問題に直面したとき、どのように対処しましたか?
  • チームメンバーとの意見が対立したとき、その状況をどのように解決しましたか?
  • 自分がリードしたプロジェクトが予定通りに進まなかったとき、どのように対処しましたか?

これらの質問は、候補者が特定のスキルや能力をどのように発揮したかを具体的に理解するのに役立ちます。

4.フィードバックを共有する

面接官間で候補者に対するフィードバックを共有することで、各面接官がどのように候補者を評価しているのかを理解し、評価の一致度を確認することができます。以下にその具体的な方法を説明します。

  1. 面接後のディスカッション
    面接が終わった後、面接官全員が一堂に会し、それぞれの視点を共有することで、全体的な評価の一致度を確認できます。
  2. 評価フォームの利用
    あらかじめ作成した評価フォームを使用し、各面接官が独立して評価を行います。
    その後、これらの評価を集約して一致度を確認します。
  3. 評価システムの利用
    一部の採用管理システムでは、面接官がそれぞれの評価を入力し、他の面接官と共有する機能があります。
    これにより、一致度を簡単に確認することができます。
  4. 定期的な評価のレビュー
    定期的に面接官全員で評価方法や評価基準を見直し、必要に応じて改善します。
    これにより、評価の一致度が長期的に維持されるようにします。

これらの方法を組み合わせることで、面接官間での評価の一致度を最大限に高めることができます。
ただし、全員が完全に一致することは難しい場合もあります。
その場合は、その違いを理解し、改善のためのアクションを考えることが重要です。

面接している画像

5.評価スコアを用いる

5点または10点などのスコア制を使用し、具体的な数値によって評価を表現します。具体的なスコアカードは以下のような形になるかもしれません。

項目評価基準5点4点3点2点1点
技術スキル〇〇の知識が豊富か、そして適用できるかすばらしい高い平均的低いなし
コミュニケーションアイデアをはっきりと伝えることができるかすばらしい高い平均的低いなし
リーダーシップ他人を指導し、影響を与える能力があるかすばらしい高い平均的低いなし
問題解決能力複雑な問題を解決するためのアプローチがあるかすばらしい高い平均的低いなし
文化適合性企業の価値観や文化に合っているかすばらしい高い平均的低いなし

評価基準は企業や職種によって変わる可能性がありますが、具体的な数値による評価をすることで面接官間の評価の一致度が向上します。それぞれの評価基準について、面接官が具体的な例や根拠を提供するように求めることも重要です。
これにより、評価が主観的なものだけでなく、具体的な観察に基づくものであることを確認できます。

ただし、この方法を使用する際には、全ての面接官が評価基準を理解し、同じように評価するための適切なトレーニングが必要です。また、定期的に評価方法を見直し、必要に応じて更新することも忘れないようにしましょう。

6.定期的なレビューを行う

定期的に面接官の評価をレビューし、必要に応じて改善策を導入します。以下のような方法が有効です。

  1. トレーニングの強化
    面接官が評価基準を適切に理解し適用していないと判断した場合、追加のトレーニングやワークショップを提供することで解決できます。
  2. 評価基準の再評価
    面接官間の評価の一致度が低い場合、評価基準自体が明確でない、または適切でない可能性があります。
    評価基準を再評価し、必要に応じて更新や改善を行います。
  3. フィードバックの開示
    面接官同士のフィードバックを開示することで、他の面接官がどのように評価しているかを理解する機会を提供します。これにより、評価の一貫性が向上する可能性があります。
  4. メンターシップとペアリング
    経験豊富な面接官を新人面接官のメンターとして指名し、ペアを組んで面接を行うことで、新人面接官が適切な評価を学べるようにします。
  5. 技術の活用
    人事管理ソフトウェアや人工知能を用いて、評価基準に基づく面接官の評価の一貫性を確認することも可能です。

これらの改善策はすべて、組織やチームの特定のニーズに応じてカスタマイズされるべきです。
最も重要なことは、透明性と開放性を維持し、全ての面接官が評価プロセスに貢献し改善することを奨励することです。

7.パネル面接を実施する

パネル面接は、複数の面接官が同時に候補者を評価する方法で、評価の一致度を向上させるための効果的な手段となりえます。パネル面接は以下のような利点を持ちます。

  1. 多角的な視点
    複数の面接官が同時に面接を行うことで、それぞれが異なる視点から候補者を評価することが可能になります。
    これにより、一人の面接官が見落とす可能性のある点を捉えることができます。
  2. 評価の一貫性
    面接官全員が同じ情報を持つため、評価の一貫性が高まります。
    また、面接官間で即時に意見交換ができるため、評価の解釈に差異が生じにくくなります。
  3. 効率性
    候補者が複数の面接官と一度に面接するため、全体の面接プロセスが短縮され、時間を節約することができます。

ただし、パネル面接を成功させるためには以下の点に注意が必要です。

  • パネルのメンバーが互いに尊重し、異なる意見を歓迎する環境を作ること。
  • 候補者が圧倒されないように、パネルのメンバーが一丸となって候補者をサポートする環境を作ること。
  • 面接前にパネルのメンバーが質問を調整し、重複や不適切な質問を避けること。

これらを適切に行えば、パネル面接は非常に効果的な方法で、面接官間の評価の一致度を向上させることが可能です。

まとめ

面接官間の評価の一致度を向上させることは、公平で効果的な採用プロセスの実現に不可欠です。上述した方法を利用して評価の一貫性を強化することで、優れた候補者を適切に評価し、組織の採用成果を最大化することが可能となります。
評価の一致性を確保することは、採用の成功を確実にする上で重要な一歩となります。

参照元:厚生労働省

パネル面接において、面接官の間で同じまたは類似の質問が重複してしまう。

面接官間で事前に会議を行い、誰がどの質問を担当するかを明確にします。それぞれの面接官は異なるトピックやコンピテンシーを担当することで、質問の重複を避けられます。また、面接官の専門性に基づいて質問を割り当てましょう。例えば、HRの専門家は候補者の適性や文化へのフィット性に関連する質問を、技術の専門家は技術スキルや経験に関連する質問を行います。

複数の面接官のスケジュールを合わせることが難しい。

パネル面接のスケジュールを早めに設定し、可能な限り固定化することで、この問題を緩和することができます。また、必要に応じてオンラインでのパネル面接を実施することも一つの解決策となるでしょう。

https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm

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